年中無休で恋心

たのしいおたくライフを送っています。

アイドルの私服特定スキルはアニメキャラクターにも通用するのか ースラムダンク 藤真健司の私服の特定を通した一考察ー

私は女性アイドルのファンなのですが、SNSに上がる写真で彼女たちの私服を見るたびにうっとりします。趣味趣向、お顔立ちやTPO、いろんな要素の組み合わせで選ばれた服。そこに本人的には特段の意図がなくたって、夢があるじゃないですか。

 

 

例えばこちらはフェス終了後出演者さんとの写真なので皆さん私服と考えられるのですが、右下にいるNegicco Meguちゃんのベージュのワンピース。

 

ameblo.jp

 

こちらのブログで紹介されている、Par Avionの派生ブランドHambleのヴィンテージワンピースという商品です。アイドルが花柄を選んでくれるの、ご自身に向けられた華やかなイメージを纏いながら戦ってくれてる感じがして良いですよね。

この1枚の写真と服の情報だけで感想は尽きないのですが、私が特に好きなのはこのワンピースがPar Avionのものであること。Par Avion、新潟に店舗があるんです!

新潟を拠点に活動しているアイドルNegiccoですが、ライブやレコーディング、メディア出演など東京での仕事も多く、行ったり来たりして過ごされていました。たくさんのショップがある東京やネットでお買い物が完結していてもおかしくはないのですが、新潟に店舗のあるブランドのワンピース着てるところがすごく良いじゃないですか。実際新潟でお買い物されているかどうかは分からないですけど、試着をして検討して買う派なのかな…地元が好きなのかな…きちんと育ったお嬢さんなんだろうな……と想像がするとより一層好きになっちゃうんですよね…。

アイドルのSNSでの姿も彼女たちが作ってくれている素敵な世界だと思うんですよ。特に私服を見かけると情報の解像度をもう少し上げて考えたくなり、どこの商品か探して、そこにある尊いポイントを見つけては愛でています。

 

そんな私ですが、「舞台上で活躍している姿と私服ギャップの意外性にぐっときた」今年ベスト1の人物がいます。

アニメ版スラムダンク、翔陽高校の藤真健司です。

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えっアイドルじゃないの?はい、すみません今年スラムダンクを見返したせいで熱が強くて…。

インターハイ常連の翔陽高校の監督兼キャプテンの藤真。選手のことを広い視野で冷静に采配し、優しい一声も掛ける、完璧な監督としての一面を持っています。

主人公桜木花道の所属する湘北高校との試合中、チームは危機に。監督の役割を離れて自身の出番を決意し、ジャケットを脱ぎ捨て立ち上がるこのシーンはあまりにも有名です。ここまでの作画無視で鋭い眼光のドアップが映し出され強調されるほど、監督の彼と選手の彼の顔は、全く異なるものでした。同じくインターハイ常連校・海南大のキャプテンで藤真のライバルである牧は、彼について

「プレイヤーとしての奴はクールとは程遠い」
「藤真のいない翔陽は普通の強豪にすぎないが、藤真が入ることによって翔陽はインターハイ常連チームの顔になる」

と表現しています。 

監督兼プレイヤーというカリスマティックなこのポジション。野球でいえば古田敦也、アイドルでいえば大森靖子ですね。頭が良くて技術もあって、かつパフォーマンスをマックスで見せる努力を泥臭く続けていないといけない。さらにそこにプライドを持っていないと立ち続けられないと思うので既にかっこいいんですけど、藤真は「ジャンプ最高点に到達する前にシュートを打つ」っていう秘技を持っているんですよ。

 

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これはディフェンスを惑わす、強力な武器です。パスせずそのまま勝負してくる!と動きを読まれていても、藤真がボールを手放すのが早すぎて、相手はガードするリズムをうまく掴めなくなるのです。この武器を持ち、彼は司令塔としての役割を持ちながらも自らボールをゴールに運びまくります。

いつもはクールなのに、いざ勝負となるとガンガン攻め入ってくるプレイスタイル。自分の身長の低さを逆に生かした変化球的なスキルを繰り出し、勝つことへの執着心が半端じゃない人。アツい気持ちが溢れ出ちゃってる人。これはもう、はい、好きですよね。しかも左利き。かっこいい。

 

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コートに立つと急に相手を煽る発言をして、気が大きくなるのもいい。

 

試合中ももちろん素敵な人なんですけど、他の高校の試合中、客席の彼がしてくれる選手やゲームの流れの詳細解説も魅力です。

監督なので語彙も豊かで観察眼もしっかりしてるんですよね。わたしはバスケについてはルールをよく知らなかったんですが、それでも彼の解説で自然にゲームの運びや選手の状況についていけるようになる、頼りになる存在でした。そう、こういう観戦の場で彼の私服が公開されたのです。

 

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パステルカラーだ!!!!!!!

あのガンガンのプレイスタイルと鋭い眼光を思い出すと、パステルを纏う私服姿のギャップにビックリしました。すごく気になってしまって、コートで頑張ってる湘北チームには申し訳ないですけど試合どころではなくなり、一時停止を押してしばらく眺めました。そこで気がついたんです。

 

この服、藤色なのでは?って。

 

藤色 ふじいろ #bbbcdeの色見本とカラーコード - 和色大辞典

 

藤色。そうですよ、藤真の藤ですよ。

藤色を見つけたら買っちゃうくらい、そして人目につくこんな場で着ちゃうくらい自分が藤真であることを背負ってるのかなって思ったら愛おしくなっちゃって、「藤真…!!!!!」と思わず顔を両手で覆いました。

客席で「あれ翔陽の藤真じゃない?」「藤真だ!」と観客から噂されるシーンが劇中にもありました。神奈川ナンバーワンポイントガードの座を争っている二者のうちの一人でありこのルックスですから、大人気なんですよね。自分の一挙一同を注目されていることを引き受けて、高校バスケファンの期待を負い、自分を隠さず目立つような格好をし、そこでパブリックイメージの「藤真」でいようとしてくれている。覚悟が尋常じゃないよ…。

いや実際のところは分からないですよ?そしてこういう勝手な想像が彼の重荷になってしまうってことも頭では分かってる。分かってるけど、お礼を言わせてくれよ…ありがとう、すごいよ藤真…藤色の藤真…(全て妄想です)。

 

ここまで来たら知りたい。藤真、その服どこで買った?

 

ということで、私がアイドルの私服特定を行っている手順通りに藤真の私服を特定できるかどうか検証してみます。スラムダンク放送時期は1993-96年ですが、それを考慮し商品を探すのはあまりに難しいため、2020年12月現在購入することができる商品の中から探し当てたいと思います。憧れの藤真の思考に近づきたい。私の目的はただそれだけです。

 

STEP1.記憶を辿りブランドを絞り込む

洋服の特定で一番頼りになるのは自分の経験則です。

例えば私の好きなNegiccoの私服や衣装は新潟の繁華街に店舗のあるブランドが選ばれていることが多いので、万代や新潟南イオンに入っているブランドのオンラインショップを定期的に覗いています。膝下丈の花柄ワンピースが豊富なPar Avion、インパクトのある柄ブラウスのZARABEAMSの大人っぽいラインのRay BEAMS。カジュアルならBEAMS BOY。ウォッチを続けているとよく使われているボタンの形や生地、色、シルエットの特徴を覚えてきます。これはここのブランドかなと予測できるようになってくるので、ブランドにアタリをつけてオンラインストアで色、柄、カテゴリで絞り込み検索をすると、スムーズに見つかります。

しかし今回は相当難しいです。彼が神奈川の高校に通っているということくらいしかヒントがなく、基礎情報が足りない上、私にもメンズ服の予備知識がありません。神奈川の高校生が購入できるメンズカジュアルっていったいどこのものだろうか。

バスケ部だし、藤真くらいのスター選手なら将来を見据えてアメリカに関心があるだろうと考えると、アバクロやGAPっていう選択肢もある。思いつく限りアメカジブランドで検索を進めました。

 

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色の絞り込み「パープル」があるブランドも少なく、出てきても1点2点という結果に。藤色は全く見当たりません。カテゴリ検索でもやはり近い商品はヒットしません。藤真、アメリカには興味ないのかも。うん、今はインターハイが大事だもんね。

 

STEP2.画像検索をする

次に行うのはZOZO TOWNやLINEショッピングの画像検索機能です。写真をアップすると、それに似た商品を検索してくれます。本当に商品がビンゴで見つかることもあるので便利ですが、それ以外にもいろんな情報をくれるのがこの機能。

検索して出てくるアイテムがどんな商品名かを見つめます。大体その商品の特徴が羅列されているはずなので、この後行う検索ワードに使えるのです。「ドルマンビッグ裏起毛スウェットクルー」や「ポンチリブスーパービッグロンT」が似た商品だったら、これが袖の特徴の名前や生地の名前だな、とまたアタリがついていくので、その名前を検索窓に入れていく候補が増えるのですよね。これは色んなバリエーションがあるほどたどり着きやすくなるので、勉強になります。

 

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この方法ではいきなり現実を突きつけられてしまい、今回は使えませんでした。

 

STEP3.検索ワードで絞り込んで探す

次に、色んなブランドの洋服が選べる大型ECサイトで絞り込み検索を行います。キーワードが多すぎても見つからないし、少なすぎるとヒットするページが多くなりすぎるので難しいところ。もう一度商品をよく見て、ヒントとなるワードを探します。

 

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特徴的なのは胸元のポケット。首元はハイネックか太めのクルーネック、袖は半袖か五部袖、ミドル袖ともいうかも。そして色が藤色(パープル)ですね。やります。

 

まずはカテゴリ「Tシャツ/カットソー」に「ハイネック」と入力し、パープルで絞り込み検索するも、1ページしか検索されず惨敗。こうなったら入力キーワードなし、カテゴリ・カラー/パープルの絞り込みでローラー作戦です。16ページありました。

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藤色に近い色の商品もありますけど、長袖だったりポケットがなかったり、これじゃないんだよな〜〜、が続きます。

すると2ページ目に!

 

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藤色に近くなってきた!!!残念ながら長袖だけど、胸元にポケットもある!惜しい!

こういうのを見つけられたら勝利は間近です。

 

STEP4.関連商品検索をする

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ZOZOTOWNは「この画像に似たアイテム」検索ができるので、これを使ってみます。さっきの画像に似た藤色のトップスに絞られてきました。

 

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近いのが出てきました!クルーネックで太めだし、袖の長さもこんなもんかも。でもムラサキがちょっと弱いですよね、どちらかというとピンクっぽいような。惜しい。

この方法はあまり先が見えなかったので、もう一度カテゴリ・カラーの絞り込み16ページに目を通していくことにしました。すると、明らかに藤色のものが目に飛び込んでくるではありませんか。

 

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これではないですか?

 

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商品を拡大して見ることができたので、よく観察することに。

細い長方形のように表現されていたポケット、こういうことだったのかと合点しました。ぴったり四角い形のポケットだったんですね。

 

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こう比較するとやっぱりネック部分の形が違う気もするけど、シーズンによってマイナーチェンジがあるのでしょう(ここまできてすみませんが妄想なので付き合ってください)。

こちらの藤真の私服、暫定的にMR.OLIVEのものとしておきたいと思います。

 

MR.OLIVEのコンセプトは「Created in japan product of japan」で日本のきめ細かさを題材に職人的物づくりを展開すること。テーマとしては、アメリカがヨーロッパに強く憧れた1960年代のカルチャーを基本ルーツとし、BASIK ROCK ROYALをキーワードに洗練されたリアルクロージングを打ち出している。 

https://www.fashion-press.net/brands/851

 

 

2003年スタートの日本のブランドで、直営店は代官山にあるようです。藤真は育ちがよさそうなイメージがあったので、伝統あるブランドを愛用されているのかなと予想していましたが、センスの良い新しいものを柔軟に取り入れる派なのかなあと思うとすごく好感を持てました。

高校生が代官山のセレクトショップで服を買っている、って思うとずいぶん大人っぽく思えるかもしれませんが、「日本のきめ細かさを題材に職人的物づくりを展開する」のブランド説明文の一節を読むと、藤真の行動としてしっくりくるものがあります。

日々ひとつのことを鍛錬している中で、新しい事実を発見する。それ丁寧に書き留めて、また新しいアイデアを思う。そういうまっすぐかつ柔軟な学びを知っている人が選ぶ世界のように思えます。人のものの選び方には、そういう普段の思考が影響することがあるだろうなあ、と思うのです。良いものを愛し、背景に思想のある新しいものを嗅ぎ分けるセンスがあらゆる分野で身についてくる。

 

私は勝手に、彼の引き受ける責任、役割の持ち方、そういうものを過剰に内在化した藤真像を持ってしまってました。そうではなく、時間をかけて培った彼のプロセスの先にある、自然な選択があの藤色のトップスだったのかもしれません。藤色ではなく、彼にとっては癒しのラベンダー色だったのかもしれない。肩肘張らず、自然と、自分がものを選ぶ指針を知っている高校生。どこまでもかっこいいな藤真……。

 

ということで、「アイドルの私服特定スキルはアニメキャラクターにも通用するのか 」の検証、「妄想はかなりはかどる」という結論に至りました。

こいつ何言ってんだ?と思っても、翔陽高校 藤真健司のことは嫌いにならないでください。