年中無休で恋心

たのしいおたくライフを送っています。

2020年映画ベスト

昨年は108本の映画を観ました。これまでこんなに数観ることがなかったので、うへえ!って感じです。月に1本見てるといいほうだった。映画に関してはド無知なので、気持ちよく教えてくれる方と定期的に話したりメディアチェックしたりする習慣がついたことが大きかったです。

毎週課題映画決めて話したり、ジェーン・スーさん・高橋芳朗さんのラブコメ講座やアト6ムービーウォッチメン参考にしたり、自分の勘だけに頼らない福袋を買うみたいな体験のおかげでのハッピーな出会いがたくさんありました。これまで自分が好きだと思っていたものにこだわって、すっごい小さい範囲の中からチョイスする行動につながっちゃってたんだなーと思った年でした。

配信だけで楽しんでいた時間も長かったので、新旧別ベストにしました。

 

新作ベスト10

 

10位 ストーリー・オブ・マイライフ  わたしの若草物語

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おいおいおい何でそうなるんだよ!?とティモシー・シャラメにはドン引きしましたけど(シャラメは悪くない)素晴らしく綺麗な映画!各シーンの美しさが焼きついてます。昔からジョーに共感して読む物語でしたが、姉妹全員が現代女性の価値観で観て違和感ないよう、かつ原作を大切にアップデートされていて嬉しかった。あととにかく衣装が大好き。四姉妹になりたくて髪を伸ばし始めました。単純!

 

9位 もち

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『もち』の話をし始めるとついオタク特有の早口になってしまいます。観る人は選ぶかもしれないけど、生活の中に可愛さ・面白さを見出すセンスはあるほうです!と思う方がいたら是非とも挑んでほしい。岩手県でふつうに暮らす家族、学校の先生、おともだちが総出で出演。どこからが創作なのか分からないような、半ドキュメンタリー的な撮影手法、あたらしい映画体験。守りたい、覚えておきたい日本の風景も素朴に素敵でした。

 

8位 のぼる小寺さん 

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小寺さんは同じクラスにいた、目立たないけど凄い部分を持ってることが感じられる、気になってつい垣間見してしまうような女の子なんですけど、映画なので容赦なく美しい瞬間が真正面から写されてるんですよ…こんなに見つめちゃっていいのかなってドキドキする。工藤遥さんのまっすぐなボルダリング姿が凄まじい。練習用Tシャツの絵柄とサイズ選びも本当に分かってる人の仕事で信頼できる。

 

7位 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー

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このポスターとコピー!観る前から最高なことは分かっていたけど、さらにその上をいく最高だったので5億点です。ガリ勉の女の子の青春成長ストーリーそのものでありながら、物語序盤から主人公二人がすでに「自分が最高であることを知っている」のが大好きポイント。私的「元気がないときにやるリスト」に「ブックスマートを観る」を追加しました。上映時間も丁度いい。

 

6位 さよならテレビ

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現職のテレビ局員がテレビ局の内部に迫るというテーマそのものが既に興味をそそるんですが、監督の対象への近づき方が凄すぎます。エグ話暴露大会にするんじゃなく、ちゃんとそれぞれ人生が描かれてるんだけど、えっいいの?と思う線まで踏み込んじゃう無邪気な視点が鮮烈。局内で今どういう扱いなんだろこれ?ドキュメンタリーに興味を持つきっかけになりました。

 

5位 はちどり

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ポスターが綺麗で、やさしい青春映画かしらウフフと観に行ったら全然違ったので内臓をえぐられました。中学生の頃の家族や友人の間で生まれる名前の付けられない感情との出会い方にリアリティがありすぎて、きつかったな。身体感覚まで映像から伝わってくる。ヨンジ先生っていう思春期に本当に出会いたかった大人が出てくるんですけど、言葉少なく語ってくれるのがたまらん。沈黙が素敵な映画。

 

4位  星の子

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幼い頃の自分の病気が、奇跡の水をかけることで治った。自分の記憶にはない体験がきっかけで、両親がとある宗教を信仰することに。その信仰が自分を傷つけることもあるけど、信仰が自分を愛してくれている結果でもあると受け入れている主人公の強さが描かれているのがとても希望的で誠実だなあと思った作品。新興宗教の部分をハイライトされがちだけど、もっと日常世界の延長の物語だと思ったりしました。

 

3位 パラサイト  半地下の家族

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今更特に説明することがないですが、やっぱり面白かったですよね。今後地上波で放映されたら絶対毎回観てネットで実況やりたい。バルス!並にリスペクトしたい。この作品きっかけで同じ映画観て感想を話したりする繋がりもでき、行動を変える力のある作品に出会えて感謝しています。身の回りでパラサイトの話してる方は自分も含めて大体パク・ソダムの佇まいにメロメロでしたね。それはそう。

 

2位 クシナ

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女性だけで生きる集落が現代日本に存在したら、例えばそこに子どもがいたら、「お母さん」という概念は誰にとって理解可能になるだろう。これが比喩に使われるべきテーマを、人類学者がこの集落を発見して潜り込むという真正面からの物語にした気負いが好きすぎて実質1位です。衣装や美術による画の圧倒的な質量と凄みだけで設定が説明されるところも大好き。見たことのない美しさ。

 

1位 朝が来る

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入り込みやすい物語にドップリ感情移入し、「色んな家族の形を理解できてると思い上がっていた自分」を突きつけられた衝撃でクラクラしながら劇場を出ました。特筆すべきは蒔田彩珠さんの素晴らしさだと思うんですが、容姿の変化の微細さが容赦なくて、髪質さえ変わってました。こういう小さなところから、本当のことが写されていると思わされる映像の説得力。河瀬監督に出会えて本当に良かった。

 

 

旧作ベスト10

10位 藍色夏恋

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勧めていただいて観た台湾の青春恋愛映画。街並みを自転車で駆け抜ける夏、夜の学校のプール、秘密を打ち明ける体育館、スープ餃子。ずっと映像がほんと、良くてねえ…。自分の中にこんな激しい共感能力が!?と驚くようなスピードで胸がいっぱいになりました。2002年公開とのことで、この時期すでにこういう題材が自然に展開する作品が製作されていたことにも驚き。主演のグン・ルンメイが激カワ。

 

9位 ワタシが私を見つけるまで

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独自の動きをもってパーンと場の空気を変えてくれる強くてユニークなキャラクターはどう足掻いても好きになるしかないよなー。発言も行動も極端でビックリするけど長い目で見たら筋道通ってる。このラブコメ映画 の主人公の友人として登場するレベル・ウィルソンはそういう人で、一気にファンになりました。シングルライフ謳歌するためのちょっとしたパーティー、一度も経験したことないけど彼女と一緒なら繰り出してみたい。

 

8位 殺人の追憶

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『葛城事件』をポン・ジュノ監督がオールタイムベストに選んだという記事を読み、好きそー!と思わず叫んだのはこれを観たから。未解決事件がモデルの作品なのでミステリー要素はあるんだけど、そっちより登場人物の異常性がハイライトされるだけされて、こんなとこまで映します?って思う。いやあ、すごいものの見方する人もいるもんですね!と拍手したい。もちろん褒めてるんですけど。

 

7位 勝手にふるえてろ

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松岡茉優さん演じる主人公ヨシカが環境に適応するために歪な形に変化するアンモナイトの「異常巻き」について語るシーン、異常巻きアンモナイトが自宅に届くシーンはおたく経験のある方に刺さると思うんだなあ…。ああ、これは自分だなあと思うものが投影され、自分の思考を視覚化されるのを観て癒される映画。あなたもきっとアンモナイトに感情移入するようになる。

 

6位 思いやりのススメ

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年末に向けて謎にほんわか気分なことも相まって、やっぱり好きだったなあ〜!と思い高順位につけちゃったロードムービー。リズム感もキャラも映像も好き。ストーリーが追いやすい映画を観たい時ってありますよね。映画のインスタアカウントも、出演者がいい感じにじゃれてて可愛い!とにかくこのセレーナ・ゴメスがめっちゃ好きなんだよな、本当にいい女かつラブリー!親友になりたい!

 

5位 志乃ちゃんは 自分の名前が言えない

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本当に良い〜〜。主人公が吃音を持っていて自分の名前さえ言えないところから始まるんだけど、それが巨大な一生消えない闇として描かれるんじゃなく、普通の高校生の悩みとして横に並んでちゃんと進んでいくところが良い。そして友人役の蒔田彩珠さんが輝きまくっている。彼女が笑ってくれると自分が肯定されるような存在感、当時中学生なんて信じられない。二人がフォークを歌うシーンも最高。

 

4位  人生フルーツ

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二度目の鑑賞でしたが、今年観たことに意味が大きかったので入れました。愛知県春日井市ニュータウン、ご自身で設計した雑木林の中の家で暮らす津幡さんご夫婦のドキュメンタリー映画。のんびり愛らしい二人の生活の知恵、背景にある時間の膨大さになんかほんと泣きたい気持ちになります。優しく生きることって知識を身に着けることだと思うのよね。モノと人を大切にすることを方法と取らない視点、見るたび勉強になる。

 

3位 葛城事件

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心底気分が悪いけどスーパー面白かったです。三浦友和がとにかく抑圧的で暴力的で、観てるだけでこっちの思考回路がずっとショート寸前!「この三浦友和がヒドい」のトークテーマでかなり盛り上がれると思うから、耐性のある人たちと複数人で観たいやつ。まあでもこの人だけが悪いわけじゃないんだよね、アップデートされない価値観とどうやって生きていくか考えさせられる。

 

2位 おいしい家族

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「実家に帰ったら父が亡くなった母の服を着てごはんを作ってた」という物語の根幹のみを取り上げるとヘンテコ映画っぽいけど、全然そうじゃない素直な映画でした。大事に思いたい人の数だけ価値観が増えて、毎日を積み重ねることが進化になる。でもとても辛かったり悩んだりも当たり前にする。ごく普遍的テーマをハッピーなユーモアで描くセンスの中に板尾創路松本穂香さんがいるの最強だったな〜。

 

1位 あん

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小豆を炊く過程の解説の台詞、全部書き写して手帳に貼っておきたい。御老人の言うことってちょっと常軌を逸していることあると思うんですけど、あれって本当に優しいってことだったんだな、あらゆる立場に立てるから突き抜けた言葉になるんだなと思いました。初めて観た河瀬監督作品。役積み、映画の作り方、知れば知るほどカルチャーショックでした。一生観続けたいものに出会えて幸せ。

 

 

おまけ。

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